株式会社三聖工業(愛媛県松山市)

十数年後を見越して、製造業の人材確保に外国人材を採用

松山市で食品や医療用など多様な産業用機械部品を製造する株式会社三聖工業は、約2年前に外国人材採用の第一歩を踏み出しました。今回は、外国人材の活用に至った経緯や受け入れ時の課題、工夫していることについて、実際に採用活動にあたっている福田克也専務と、同社で活躍するインドネシア人社員2人にお話を伺いました。

1.外国人材雇用に至った経緯

人材紹介会社の担当者から外国人材の話があがり、これから十数年先を見据えた時、人材の取り合いが起きることは容易に想像ができました。私たちのような中小企業の製造業であれば、競争に参加するのではなく、先に確保しておくべきだと考え、社内を説得し、受入れの土壌を整えました。
オンラインでの面接も行いましたが、それだけでは見えない部分もあり、実際に現地面接も行っています。現地訪問して、技能テストやグループワークの様子を見学させてもらうこともあります。

人材紹介会社に通訳を付けてもらい、お互いコミュニケーションを取っているのですが、会ってみることで温度感もわかって就業後のギャップも軽減できていると感じています。

2.外国人材受入に関する課題

初めて外国人材を採用する時は、情報集めや、資料が揃っているか等不安に思う部分もありました。しかし、人材紹介会社のサポートもあり、無事クリア。今でも月に1度訪問頂いて、新しい制度の紹介や、外国籍の社員に対して情報共有をしてくれる等、第三者的存在としてとても助けられています。人材紹介会社選びは、今後外国人材受入を考えている企業にとって重要なポイントになると思います。
また、日本人の社員の中にはコミュニケーションに不安を覚える人もおり、そのケアも必要だと感じました。まずは、百聞は一見に如かずということで、社員旅行の行き先を韓国に設定。海外文化を体感してもらう機会になったと思います。
いつか、現在働いている外国籍社員の故郷でもあるインドネシアやベトナムへ社員旅行で訪れてみたいですね。

3.働きやすい環境づくりへの取組みとその成果

私たちが一番気にかけているのが、「彼らが気持ちよく仕事・生活できているか」です。

現在、インドネシアとベトナム国籍の社員がおり、一軒家でシェアハウスをしてもらっていますが、宗教の違いから食べるものも異なるので、冷蔵庫は二台設置しました。また、礼拝場所を提供するなど、文化面で衝突がなるべく起きないように配慮しています。

まとめ役として寮長を任命し、寮長手当を出し始めました。モチベーションが上がり、責任感も生まれ、上手に外国籍社員たちをまとめ上げてくれています。

その他にも、掲示物を日本語と他言語を併記したり、日本語に慣れていない頃は簡単な単語で会話するように心がけたりもしています。

ただでさえ慣れない土地で心細いことも多いでしょうから、いかにそこをフラットにできるかを常に考えています。

会社が働きやすい環境づくりを行っていくことで、日本人の社員たちも彼らと積極的にコミュニケーションを取るように変化しました。例えば、外食に連れて行ったり、自宅で使わなくなった家電を譲ったり、業務外の部分でも気にかけて関わりあおうとしている様子を目にします。

働きやすい環境づくり3つのポイント

  • 相手の国の文化に向き合い、理解しようとする
  • 寮や備品など生活環境を整え、暮らしやすさまでサポートする
  • 寮長など役割を与えてモチベーションUP

4.外国人材を雇用してよかったと思うこと

実際に受け入れてみて、良かったこととしては2点あります。

1つは、「社員の教え方が丁寧になった」ことです。日本人同士だとどうしても“このくらいで伝わるだろう”という考えが生じてしまいます。しかし、外国籍の社員に教えることで“どうすれば抜け漏れなく伝えられるか?”という意識が芽生え、情報共有の質が会社全体として高まったと感じています。

もう1つは、「お互いの存在が刺激になる」ことです。仕事に慣れてきた頃には、外国籍の社員から仕事の進め方に関する提案が出てくるようになりました。お互い対等に仕事をするのだから、それはごく自然な流れで良い兆しだと感じています。

5.外国籍社員の声

愛媛に来る前に、神奈川にいました。私も日本に来たばかりで上手く話せず、周りから「話しても伝わらないかな」という雰囲気を感じることもありました。コミュニケーションに不安を覚えながら現在の会社に来ましたが、みなさんが歓迎してくれて安心したのを今でも覚えています。

寮も一軒家をシェアして暮らしていますが、お皿や家具など事前に準備してくれていたことが伝わってうれしかったです。

現在は、特定技能二号の取得を目指しています。まだまだ溶接も言葉も勉強中ですが、日本で長く働いて、家族を喜ばせたいです。

所在地
〒791-8044 愛媛県松山市西垣生町1800-2
従業員数
日本人45名/外国人材8名(ベトナム人実習生3名、
インドネシア人実習生3名、インドネシア人特定技能2名)
創立年
2014 年
従業員数