医療法人倬清会 老人保健施設「リハ・クリネ」
人材不足解消の一手に。
西条市にある老人保健施設「リハ・クリネ(医療法人倬清会)」では、約2年前から外国人職員を採用しています。事務部門の日野貴博主任と3人のベトナム人職員への取材から、介護の現場で言葉の壁を越え、コミュニケーションを工夫しながら利用者さんと信頼関係を築かれている姿が印象的です。
1.外国人材雇用に至った経緯
介護職は、食事から入浴や排せつまで利用者さん一人ひとりに寄り添いながらサポートするため、体力的にも精神的にも大変な仕事です。そのため、人材不足は常に課題として抱えていました。ハローワークや求人募集を出してもなかなか人が集まらず、人材紹介会社の方に勧めていただいたのが外国人材(特定技能生 )の採用でした。
ベトナムの方を3名採用させていただきましたが、文化的な違いはあまり感じません。日本語も勉強して来てくれていたので、初めはカタコトでしたが、働く内に上手になっていき、今では申し送りも漢字を交えて記入しているほどです。私たちが知らないうちに日本語検定を受けるなど、とても努力家な方たちだと思いました。

2.外国人材受入に関する課題

職員間では「言葉はどのくらい通じるのか?」「介護職未経験で大丈夫だろうか?」と当初はやっぱり不安な部分もありました。でも、実際来てくれた彼女たちはとても明るくて素直。「笑顔で接してくれてうれしい」と利用者さんからの評判も上々。すぐにこの不安な気持ちは先入観だったんだなと思いました。東予地域の方言もあるので、お互い意図が伝わっているか不安な時は翻訳ソフトを使ってみたり、実践して見せてみたりとアプローチ方法を変えて意思の疎通をしています。現在は、外国人職員の中でも在職期間が長いスタッフが僕たちの伝えたいことを翻訳して教えてくれることもあります。
“家族へ仕送りしたい”というモチベーションがあるので、夜勤などにも積極的に入ってくれています。助かっている一方で、ハードな業務でもあるので、「最近夜勤続きだけど大丈夫?」と声をかけつつ本人たちの働きやすいリズムとなるよう意識して業務を依頼しています。
3.働きやすい環境づくりへの取組みとその成果
受入れがきまった時、異国の地で働く彼女たちにとって、言語面はかなり高いハードルになるのではないかと考えました。介護という人の命や暮らしをお預かりする業界でもあるので、業務内容はしっかり理解してもらい、お互いの認識にずれがないようにしなければなりませんでした。
例えば、利用者さんの顔とお名前を覚えるために、利用者さんの車いすに名札を付けているのですが、読みやすいように平仮名表記としました。今では漢字の読み書きもほぼ問題なくできていますね。
また、これから取組みたいことのひとつが、彼女たちの一時帰国希望に応えることです。彼女たちは、家族を支えるために日本で働いているので、一時帰国は大切な家族との時間でもあります。これはまだクリアできていないのですが、彼女たちがしっかり一時帰国できるように職員数の補充が喫緊の課題です。そのため、来年度以降も外国人材の計画的な受入れを検討しています。

働きやすい環境づくり3つのポイント
- 職員・利用者・利用者家族への事前周知
- 平仮名表記や言葉選びなど日本語の習熟度に合わせて伝え方を変化
- 職員住宅はシェアハウス形式。個人の部屋を設けてプライベートを確保
4.外国人材を雇用してよかったと思うこと
介護・福祉の現場は、常に人手不足状態です。そこを補完してくれる存在であることはもちろん、とても熱心に仕事に取り組んでくれています。もっと早く受入れをスタートさせておけば良かったと思います。
また、外国人材の視点から業務改善の提案などが出てくることも期待しています。
5.外国籍社員の声
家族に仕送りをするために日本で働くことを決めました。それまで介護職の経験はありませんでしたが、職員さんが熱心に教えてくれたので、私も応えられるよう勉強をしました。特に入浴介助は湿度の高い浴室で体力を使うので大変な業務ですが、利用者さんが気持ちよく過ごせるように頑張っています。
初めは日本語に自信がなく、うまく仕事ができているか不安がありました。しかし、職員さんや利用者さんとお話しする中でスムーズに日本語でのやり取りができるようになってきました。
現在は、三人とも介護福祉士の資格取得を目指しています。日本で長く働くためにも、これからもスキルを磨いていきたいです。

所在地 | 〒799-1101 愛媛県西条市小松町新屋敷甲2385-1 |
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従業員数 | 日本人59名/外国人材3名(ベトナム人特定技能3名) |
創立年 | 1999 年 |
従業員数 |